広島家庭裁判所 昭和38年(少)2096号
主文
少年を広島保護観察所の保観観察に付する。
理由
(審判に付すべき事由)
少年は昭和三七年七月頃より衝動的粗暴行為が顕著となつたが、特に同三八年四月よりは、華美な服装に憧れてこれを父母に強要し、容れられない時は母に暴力を振い、家具を破壊し、更に同年一一月一四日頃には友人等と大阪方面への家出を計画し、その費用として、父母に五万円ないし一〇万円を強要する等、保護者の正当な監督に服さず、又素行不良者K某等犯罪性のある人と交際し、このまま放置すればその性格環境に照して将来罪を犯す虞があるものである。
(適条)
少年法第三条第一項第三号イ、ハ
(要保護性)
一、本件は父親の通告によるもので、親子間の葛藤が主である。
少年は衝動的な性格特徴を有し、自己顕示的傾向が著しく顕著で、自己中心的、誇示的、虚飾的な面が強いところから周囲の規制、圧力に反し反発的、攻撃的で柔軟性に欠け、一旦激昂すると短絡的な粗暴行為に及ぶものである。本件非行もこの資質的欠陥に負うところが多い。
このような少年に対しては、その性格特徴を十分に把握し、つとめて高圧的態度で臨むことを避け、柔軟な指導に留意することが必要であるにも拘らず、父親の少年に対する要求水準が高く、そのため、勢い執拗に自己の願望を少年に押しつけ、過干渉となりがちであるところから、いたづらに両者間に摩擦を重ねて来たものである。而も父親が少年に対し必要以上に押しつけ的でありながら、少年を溺愛し、最後には少年のいいなりになる等、父親の少年に対する態度に一貫性のないことが、少年の自己中心性、短絡、思慮浅薄に拍車をかけている。少年は過干渉、溺愛、不安定な父親の許で甘やかしの駄々ッ子的症状を呈している。
二、他面、少年においては、既に浪費、不良交友が可成り顕著となつているので、このまま放置すれば、犯罪に迄発展する可能性が大きい。
三、父親は、類てんかん気質者で、几帳面、頑固、執拗で、精神的視野が狭い(久保技官意見書)。
四、以上の点よりして、少年を家庭の指導のみに委ねることは適当でなく、専門家の指導により父子共にその性格的欠陥を是正し、親子間の調整をはかり、少年をして自己の非を悟らせることが必要であると思料する。
保護観察相当。
(主文の適条)
少年法第二四条第一項第一号、少年審判規則第三七条第一項
(裁判官 高橋水枝)